率先垂範−リーダシップとは?

やってみせねば人は動かじ
「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、 誉めてやらねば人は動かじ。」
これは、連合艦隊司令長官山本五十六が言った有名な言葉であるが、絶対服従の軍隊ですら山本は自ら率先することの重要性を訴えている。
昨今、はやりの「コーチング」でも率先垂範の重要性が力説されている。
偉大な起業家達は実際に率先垂範をどうとらえているのか。

▼ 実例

本田宗一郎 ・・・「言葉とか文字では人は動かせない」
本田は、「言葉というのは一見便利なようだが、人によって捉え方が異なる。例えばりんごの味ひとつとっても世界中の人が納得できる表現はないではないか。」と言っている。
言葉に頼ることの限界を伝えている。
では、どうするか?そのカギは日々の言動によって培われた「信頼」ということになる。

伊藤雅俊 ・・・「上司は率先して行動で示すこと」
伊藤は、著書で率先することの重要性を訴えている。
「お客様やお取引先の信頼関係が成り立つためには、会社内部における信頼関係ができていることが必要で、上司も部下に口で不平を言うだけでなく、率先して実行して始めて言葉に説得力が出る」と言っている。

鈴木敏文 ・・・「加盟店オーナーに掃除を徹底してもらうためには」
セブンイレブンのクリンリネス(店の清潔さ)は徹底している。
汚い店からお客様は二度と商品は買わないと考えているからである。
しかし、 これをフランチャイズ加盟店のオーナーに理解させ、徹底させる事は難しい。
まして、若いOFC(店舗指導員)が年配のオーナーにさせるときはなおさらである。
その場合、鈴木は、まず1週間でも説明しながらも、OFC自ら清掃してみることを薦めている。
こうすることで、口先だけと違って重要さに説得力がまされるのと、人を説得することがどういうことか理解できるからである。

小林一三 ・・・「人任せの店」
小林が著書の中で店のあり方について述べたとき、知り合いが開業した料理店について言及している。
「銀座の裏通りにカフェー・リッツという洋食店があり、そこの主人をよく知っているが、商売人としては腑に落ちない点があるので、あれではうまくいくまいと心配している。それはあまりに人任せ過ぎて、お客商売としては第一線に立たなくてはいけないと思うのに、早くから人任せ。その結果、商売にはなっているまいと他人事ながら案じたのである。」
ちなみにこの店は不幸にも小林の予想通り数年を出ずして滅びたそうである。
<小林一三著「私の行き方」より一部引用>

藤田田 ・・・「土日も仕事」
藤田田は、「リーダーは米国のように陣頭にたってリーダシップを発揮すべき」と著書で述べている。
実際に藤田は引退する最近まで土日も関係なく仕事に没頭していた。

豊田喜一郎 ・・・「工場へ寝泊り」
豊田も、国産自動車の量産化に寸暇を惜しんで没頭した。
その際も常の陣頭に立ち、夜遅くまで仕事に熱中することが多く、時には工場事務所内にある風呂付日本間に寝泊りしていたという。

松永安左エ門 ・・・「停電の原因を調べるために」
松永が九州での電力事業を成功させた後、名古屋で電力事業を手がけている福沢桃介(福沢諭吉の娘婿で友人)に救済を頼まれた。
松永は両事業を合併させ、東邦電力と名を改め、名古屋に乗り込んだ。
当時名古屋では火力の不足から停電が頻発、顧客の信用地に堕ちていた。
松永は停電対策のため、配電室にベッドを持ち込み寝泊りしていたという。
こうすれば、どこの発電所や送電線が故障かという弱点が手に取るようにわかったからだという。
やがて停電はみるみる減り、松永も家で寝るようになった。

堤康次郎 ・・・「常在戦場」
堤が西武グループの基盤となった箱根、軽井沢、国立といった土地の開発をする際も、自ら陣頭指揮に立つのが常であったという。

五島慶太 ・・・「工事現場の陣頭指揮」
大正12年のこと、直前に起きた関東大震災で遅れがちな田園調布と蒲田を結ぶ鉄道の工事現場でシャツ1枚でシャベルをとって陣頭指揮にあたる男がいた。
その男こそが目黒蒲田電鉄専務で、後に東急グループを築き上げる五島慶太であった。

安藤百福 ・・・「口先だけで人はついてこない」
安藤も自分で生み出した商品を育てるのは自分の義務であると言っている。
工場の増設の際も残業につぐ残業であったが、「人頭」に立ち他の人の何倍も働いたと振り返っている。

松下幸之助 ・・・「一心不乱」
松下も著書「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」の中で「人を使う上では、何人か問題を起こす人は必ずいる。そういう覚悟に立った上で、こうしたらいいということを身を持って示すべきだ。まず自分が一心不乱にやれば、まわりも見てばかりいられなくなるものだ。」と述べている。

▼ まとめ

どの自伝を読んでも偉大な起業家は「率先垂範」で共通している。
自らが陣頭指揮して大事業を築き上げていくことこそが、偉大なる起業家の真骨頂とも言えよう。
自分が燃えることで、ぐいぐい周囲を引っ張っていく。なぜそうなるのかについて、理由はいくつかあると考える。
@自分の思いを実現していく会社なのだから、俄然自分が一番仕事をするため。
Aやはり自分が動かないで、他人が動くことはあり得ないため。

 

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