商品−商品へのこだわり

お金のもとだから当然商品は大事に
偉大な起業家の商品へのこだわりぶりは凄まじい。
自叙伝などでは、自社商品の宣伝も多分に含まれてはいるにせよ、商品への徹底したこだわりが感じられる。

▼ 実例

本田宗一郎
本田は「製品を見れば目からその人の思想が入る」と言っている。
「言葉ではうそは言えても、製品は決してうそができないから」だという。
本田は自らの製品には奇をてらわず、製品に対してはあくまで親切、その時代に魅力を持たれる商品が信条であったという。

松下幸之助
松下も著書「商売心得帖」の中で「千円札は大事に扱うのに、商品は同じ価値があっても粗雑に扱われることが多いが、こういう扱い方をするお店ほど発展しない」と言っている。
そして、「商品はお金と同じでお金を生むもとだという考えの店は概して発展している」とも言っている。

井深大
井深は戦後間もなくテープレコーダーの可能性を感じ、制作、完成をみたが、これは全く売れなかった。
重さが45kgで値段が16万円もした。ちなみに当時の初任給は2,000円程度だった。
このとき井深は「どんなものを作れば喜ばれるか」を徹底的に研究した。
アメリカの使用法のパンフを検討し、学校用、事務用、宣伝用と少しずつ用途を開拓していった。
製品の改良もすすみようやくソニーの歴史に残るヒット商品になった。
井深はこう言った。
「大衆は一番きびしい審判官なので一番大衆商品がやりがいがある。」

盛田昭夫
盛田がトランジスタラジオを持ってアメリカを売り歩いていた折の有名なエピソードがある。
当時ラジオは家庭用の大型ラジオが主流で、ちっぽけなラジオはなかなか理解されなかったが、ブローバーという大手時計メーカーが関心を示した。
しかも十万台発注したいという!(当時のソニーの生産能力の数倍)
しかし、ブローバーは「ソニーの名前をとり、ブローバーの商標で売ること」を条件としてきた。
当時ソニーという名前はあまりにも無名だったからである。
盛田は考えた末、この申し出を断った。
ブローバーの担当者は冗談かと思い、
「私の会社は50年も続いてきた有名な会社です。ソニーなんてアメリカでは誰も知らない。わが社のブランドを利用すべきです。」
これに対し盛田はこう答えたという。
「50年前あなたの会社も無名だったはずです。50年後は現在のあなたの会社にまけないくらい有名になってごらんに入れます。」
盛田の「ソニー」という製品へのこだわりが伝わるエピソードである。

堤康次郎
堤が軽井沢の別荘や国立の学園都市の開発をする際も、単に住宅の建設だけでなく、教育・スポーツ・レクリエーション施設をもったコミュニティの建設も行ったという。
これは商売の観点からではなく、社会の指導者としての使命感・義務感からでたものだという。

小林一三
小林も商品を徹底的に研究することで有名だった。
阪急の食堂で40銭の弁当にスッポンの吸い物をつけていた。
スッポンの吸い物だけでも普通50銭はするというのにだ!
当時スッポンは中国の亀を輸入し日本で養殖していたのだが、輸送中に死んでしまうことも多く、また日本へ持ってくる際4割の税金を取られていた。
そこで、小林は
・まずスッポンをシーズンに大量に時価で仕入れる。
・中国で冷凍してしまってから輸入する。
・薬種品として輸入する(税金も1割)
こういった、研究工夫の末、驚きの値段でスッポンの吸い物をお客様に提供していたのである。

安藤百福
安藤は、カップヌードルを開発するときは、まず理想的な商品を考え、商品の基本的な部分はどんなことがあっても、決して譲歩しなかったという。
安藤は、@国際性があり、A即席性がより高く、Bファッション性を新しい包装、容器に盛り込むことをターゲットとした。
譲歩していては、完成度の高い息の長い商品にはなりえず、また譲歩しないからこそ工夫や知恵が出てくるからだという。

中内功
中内は「お客さんに現在の不満がある限り、われわれの商品は無限に発展する可能性がある。」と言っている。
「ニーズがあれば女と麻薬以外なら何でもやる。」と言い、毎日お客さんの顔、態度を必死に見聞きして不満がないかチェックしていたという。

伊藤雅俊
伊藤は「お客様はいいわけを買ってくれない」と言っている。
ある店で魚の干物を買ったところおいしくなかったので店に聞いたところ、
「近くの魚屋は天日乾燥だからおいしいが、うちは電気乾燥だからおいしくない。」と言われたそうだが、これに対し伊藤は、これはいいわけに過ぎない、こんな当たり前のことをわかっていない人が多いと言っている。

鈴木敏文
鈴木は例えばセブンイレブンの弁当であれば「鮮度と味」にもこだわっている。
このためセブンイレブンの弁当はコストがかかっても一日三便体制で納品されている。
そして、「欲しいときに欲しいだけ」ということにもこだわり、欠品には神経をとがらせている。
注文を増やしすぎるとロスが増えるので、発注者はできるだけ注文を少なくしたがるが、鈴木から言わせれば、これすらも売り手の都合と考えている。

▼ まとめ

商品への徹底的なこだわり、これは商品がお金を生むもとであるということからくる、ごく当たり前の行動ということになる。
こだわりといっても自己満足のこだわりではなく、「どうすればお客様に喜んで頂けるか」ということに徹底的にこだわって、それを商品へ結晶化させている。
冒頭の本田宗一郎の「商品をみれば思想がわかる」はまさに至言である。

 

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