価格設定−値決めの考え方

起業家に学ぶ値段の設定法
価格設定ほど経営者の頭を悩ませ、かつ経営にダイレクトに影響するものはないだろう。
H.サイモンの著書「価格戦略論」によれば、大企業の典型的なコスト構造では1%の値上げで12%もの利益増になるという。
偉大な起業家は値決めをどのように捉えているか?

▼ 実例

鈴木敏文
鈴木は、今の時代は安売りではなく、「質のいい商品を、フェアプライス、つまり適正な価格で売ること、つまり価値訴求がもっとも重要」と言っている。
お客様からその商品には価値があると認めてもらえれば、適正な値段もつけられるし、喜んで買ってもらえると言っている。

本田宗一郎
本田は、「お金を出してある商品を買うということは、その価値を買うのだ。お客さんはお金を払った以上、商品に最上の品質を要求する。だから値段を安くするために性能を犠牲にしてはならない。」と言っている。
ところで、本田がこう言ったのは昭和38年のことである。

南部靖之
南部は、人材派遣料は契約の翌春になると得意先に値上げをお願いするが、これは絶対譲れないポリシーだという。
料金を据え置いたり、値下げをすれば顧客をつかみやすくなるのはわかっているが、値下げをすれば結局派遣スタッフの生活が不安定になり、大勢の主婦に職場を提供したいという原理原則に反するからだという。

藤田田
藤田は、定価210円のハンバーガーの大幅値下げを断行する際、マーケットリサーチのデータに注目した。
150円を切ると、急激に売れ出し、130円で80%、100円で100%の人が満足するという結果がでていた。
そこで、まずは8割もの人が満足する130円に値下げし、最後には80円までの値下げを断行した。
マクドナルドの価格破壊は他の競合店を次々に撤退に追いやった。

大川功
大川は1973年から1974年にかけてユーザーに対して大幅な値上げを求めた。
コンピュータサービスへの高まる要求に対し、相応の報酬がほしいと考えたからである。
CSKのおかれた立場と基本的考え方を文書にして、ユーザーを説得した。
1973年といえばオイルショックの不況の只中であり、値上げ自体すんなり認めてくれところはなかったが、粘り強い交渉で全ての会社に値上げを認めさせることに成功し、CSKは業界のプライスリーダーとなった。
大川はこの瞬間を「単なる一出入り業者から、ユーザーパートナーとしての地位へと一歩進んだ金字塔を築き上げた」と言っている。

稲盛和夫
稲盛は、「値決め」は経営であり、トップ自らが決めるべきものだと言っている。
そして値決めで会社の業績が悪くなるとすれば、それは経営者の器の問題であり、心の問題であり、経営者の持つ貧困な哲学のなせる業と思う、と言っている。

松下幸之助
松下は著書「商売心得帖」の中で、「いかなる商品でも私の方で決めるもので、他の店より高い場合もある。しかしその高いという場合には、自分の魂料が入っている、信用保証料が入っている。だから何かのときは私の方は責任をもちますよ、ということを堂々と主張できるような商売をしなくてはならない。」、と述べている。

▼ まとめ

市場が適正だと考える値段にあわせるのは当たり前である。
しかし、自らが販売する製品やサービスについて、顧客に価値を与えているのだ、と言えるのであれば、堂々と自分の値決めの正当性を主張することができるし、実際偉大な起業家は自らが設定した値段へのこだわり、哲学をもっている。

 

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